不真面目な記録

それはただひたすらに艶やかな白い肌を持ち、色気を含む魅力(尾根)をたくさん有する。

それはまるで寒風吹き荒れる北の海に住まうセイレーン。

ひたすらに登山者を誘惑し、時に一瞬にしてその美しさで飲み込む。

例に漏れず小汚い野郎3人がその魅了にやられ島に降り立った。

1日目

初日から全くのホワイトアウトに捕まり足下しか見えない。あと30cm踏み出せば途端に飲み込まれるかもしれない。

停滞を余儀なくされたが時折見せるその変態的形状に、また自然と足が前に進んでしまう。

2日目。

気付いたら、その甘美に誘われて戻ることの出来る最終箇所に居る。

天気はどうだ。

相変わらずの足下から数十cm程度しか見えない。なんなら横になってる今この場所の下は虚空なのかもしれない。

“引き換えそう”。そう思考するがやはりセイレーンの歌声には引き寄せられる。

4日目。

いつのまにか戻るラストチャンスのロープを引き抜いていた。

もう行ききるしかない

5日目

最後の核心を超え、喰われることはなかったと安心したがまたその白さで飲み込み始めた。

最後は誘惑というにはあまりに激しく、拒みすら感じる。無理矢理にも歩を進める。1人が呟く。

ー”もはやレイプだな”ー

白い闇の中、3人は頂きに辿り着いていた。

下降し始めると闇が晴れ、真紅の夕日が舞い上がった粉雪を照らし輝いていた。

全てを祝福するように。

6日目。

またもや烈風と共に白い闇。誘惑でも拒みでもない。閉じ込めに近いもの感じる。

恋人の束縛のようなものだ。

何度もその魅力に引き寄せられては絶望し、そしてまた心あらずと歩を進める。

セイレーンの如きこの山の魅力を、何度も手が伸びてしまうお菓子と重ねて名付けたのがそう“白い恋人”なのである。

ほら、パッケージを見てみて。そう、真っ白に輝く利尻富士が載ってるでしょ?

めっちゃ嘘です。

真面目な記録

【行動記録】

Day 1 :鬼脇→南稜取付→T.S

Day 2:T.S→1256m→大槍基部→大槍・P2コルT.S

Day 3:沈殿

Day 4:T.S→P2懸垂→P1→バットレス基部T.S

Day 5:T.S→バットレス→山頂→長官小屋

Day 6:長官小屋→長官山→利尻北麓野営場→鴛泊港

【装備】

ロープ60m×2  スノーバー×1  カム(#0.2〜2)   トライカム全セット  ピトン(ナイフ×2.アングル×2)  イボイノシシ×2   

アルヌン×9本 その他長めのスリング×4  3人用幕営装備

*イボイノシシめちゃくちゃ大事。3本あっても良いかも

【登攀内容】

(取付)

鬼脇小学校横の林道から入山

バスは鬼脇で下車。

歩いて30分ほどの場所にセコマがある。

(アプローチ)

林道を詰め、大曲で左の尾根に上がるか雪崩の心配の場合は早めに樹林を伝って上がる。今回は後者を選択

(1256m~大槍基部)

積雪量で異なると思うが、稜上か稜上が困難な時は左巻きを選択することが多かった。

全行程、コンテで進む。

(大槍)

大槍手前にまず出てくる衛兵のような岩峰は右から巻いた。60m

雪の量で直登も可能と考える。

大槍基部からは左巻き。45m+30m

(P2)

稜上を忠実に上がる。60m

P2トップにて掘り起こすと残置の懸垂点が出てくる。

(P2懸垂)

60m一回でコルまで到達。稜上を降りるため、振られないように注意が必要。

他の記録は2回に分ける場合もある。

(P1)

コルからバットレス基部まで3p

1p:稜上を上がる。2段目のテラスで終了点。60m

2p:左へトラバースしルンゼに入る。一段上がり、詰めた所で終了点。40m

3p:一段Ⅳ級程度のアイス?ベルグラ?泥壁?を超え左へ抜けるとバットレス基部に到達。40m

今回はそれぞれランナーは取れず、終了点だけ細い灌木+イボイノシシorスノーバー

(バットレス)

バットレス基部からトップまで3p

1p:左のルンゼを選択。若干被り気味で除雪しながらのかなり奮闘的ミックスクライミング。ランナーも満足に取れない。細かいロックギアが幾つかキマる。

ハイマツテラスまで60m

2p:ハイマツテラスから左の弱点を登る。そこからはアイスになった垂壁に近い壁を登る。こちらもランナーは期待できない。60m

3p:右巻きを選択。右へ進んでいくと傾斜の緩いルンゼに出て、そこからまた稜上に戻る。60m

全ピッチ、積雪量でスケールは変わると思われる。前2pはリードの荷物をフォロー2人で分け、ユマール。最後1pはスタカットでリードの負担を下げた。

今回、プロテクションに短めのスクリューが欲しいと感じる場面が幾つかあった。

(バットレス〜北峰)

南峰は右巻き。

本峰は稜上をスタカットで。

北峰はロープ要らず。

(北峰〜下山)

とにかくルーファイに注意!

特にホワイトアウトになると全くわからない。

【テンバ】

(1256mまで)

基本的に探せばどこでも張れる

(大槍基部まで)

基本的に探せばどこでも張れる

(大槍とp2間コル)

雪庇の可能性もあるが今回2日目はここに張った。画像参照

DCIM\101MEDIA\DJI_0062.JPG

(P2・P1コル)

可能と感じる。要土木作業

(P1・バットレス基部コル)

可能。要土木作業

(南峰以降)

基本的に探せばどこでも張れる

(利尻山避難小屋)

最高!五つ星ホテル!


ブログ内容前半です。ブログ内容とリンクして見ていただくと少しわかりやすいと思います。最後、大事な情報もあるのでチェック!
ブログ内容後半です。最後の絶景を見逃すな!!

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